あの劇団四季が、「MotionGallery」でクラウドファンディングを呼びかけている。
劇団活動の継続維持のための支援の呼びかけで、中止公演の損失補填と今度の活動再開のための資金に当てるとしている。
劇団四季は、日本演劇界のリーディングカンパニー。1953年に浅利慶太、吉井澄雄、日下武史らが慶応の大学生を中心に旗揚げ。初期は主にフランス演劇上演する新劇団だったが、1970年以降ミュージカル路線に変更、1995年のディズニーとの提携以降は日本に例のなかった大ロングラン公演を実現させた。日本にミュージカルを定着させたことについての功績は大きい。
劇団四季の特色は、スターシステムを取らず、演劇公演のみの収入で劇団の運営を成立させていること。「演劇のみで食べていくこと」それは創立者浅利慶太の理念でもあり、それを実現させている日本演劇界で稀有の存在だ。その劇団経営の基盤となるのは、日本全国にある専用劇場であり、そこを拠点としての大ロングラン公演の実現だ。通常貸し館での演劇公演では、連続公演は長くても数ヶ月単位が限界。年間通じて、あるいは数年単位でのロングラン公演を実現することは、どんなに作品が素晴らしくても難しい。
が、このコロナ禍においては、皮肉にもそれがアダとなる。
2月末から公演中止から6月末までのこの期間、劇団四季が失ったステージの数は約1000公演、劇団四季の年間総公演の3分の1にあたる。その間、「演劇のみで食べてきた」劇団四季は、本番のステージがないため、事実上全く収入がないことになった。収入がなければ、普段は強い武器である「専用劇場」の維持も負担になる可能性はある。
本来、今年は、東京・竹芝に新しい専用劇場「四季劇場春/秋」の開場を控えての躍進の年だった。春劇場のこけら落としとして用意されていたのはディズニーミュージカル「アナと雪の女王」。この「アナ雪」も上演延期が決まっている。
劇団四季は、過去経験のない、創立以来の危機にさらされている。
クラウドファンディングを呼びかけるメッセージの中で劇団四季は「この危機をなんとか乗り越え、これから先も日本全国の皆様に感動をお届けしたいという強い思いから、この度クラウドファンディングの実施に踏み切ることといたしました」としている。
劇団四季はクラウドファンディングを通じて活動支援に協力した方に、感謝状、デスクトップ壁紙やオリジナル便箋などのリターンを用意している。また全ての劇団四季公演のチケット支払いに利用できるギフトコードが用意されたコースも用意されている。
劇団四季は、大規模な商業公演だけでなく、「こころの劇場」など、ファミリーミュージカルの無料招待公演などを日本全国の子供達に届ける活動でも知られる。
もし私たちが劇団四季を失うことになれば、その穴を埋めることは何にも叶わず、日本は大きな演劇文化を失うことになるだろう。
劇団四季を支援するためのクラウドファンディングのページは、下記アドレスより。