新国立劇場『貴婦人の来訪』 6月1日(水)より上演!!

演劇ニュース
億万長者の貴婦人の「正義」の復讐により、
貧しい町人達が全体主義的に仲間を死に追いやる「悲劇的喜劇」。
『貴婦人の来訪』 は新国立劇場で、6月1日(水)より上演されます。
一般発売は5月7日(土)10:00開始です。

作品について
シリーズ「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話…の物語」第三弾は、フリードリッヒ・デュレンマットの代表作『貴婦人の来訪』をお贈りします。1956 年に初演された本作は、全体主義へと傾
倒していった社会への痛烈なアンチテーゼとして話題を呼び、その後、世界各国で多くの演
出家の手によって上演され、舞台のみならず、映画やオペラ、ミュージカルとしても上演さ
れ続けている名作です。
議論を重ねた上での他者との対話が、人間関係にどのような影響を及ぼし、どのような社会
を形成するのか。演出に、新国立劇場では『どん底』での大胆でユニークな演出も記憶に新
しい五戸真理枝を迎え、お届けするシリーズ最終作。どうぞご期待ください。

あらすじ
小都市ギュレン。「ゲーテが泊まり、ブラームスが四重奏曲を作った」文化都市も昔の話、
今は荒れはて、町全体が貧困に喘いでいる。ある日、この町出身の大富豪クレール・ツァハ
ナシアン夫人が帰郷する。町の人たちは、彼女が大金を寄付し、町の経済を復興させてくれ
るのではないかと期待に胸を膨らませる。
夫人は人々の思惑通り、巨額の寄付を申し出るが、同時に一つだけ条件をつける。
「寄付はするが、正義の名において、かつて私をひどい目に遭わせた恋人を死刑にしてほしい」…。
翻訳 小山ゆうなからのメッセージ
2020年6月、芸術監督小川さんの強い思いと劇場の皆様の万全の対策のもと、コロナ禍に
よる劇場閉鎖から再開一本目という新国立劇場の作品(『願いがかなうぐつぐつカクテル』)
に、演出として関わらせて頂きました。
あれから、一年、社会は、団結したかと思うと、当時予測していた以上に、再びより深い
分断へと向かう事を繰り返し、閉塞感を増しているように感じます。
そんな今に正に合っていて、新しさすら感じさせるデュレンマットの作品『来訪』を上演
との事、楽しみにしています。
デュレンマットはドイツ語圏を代表する劇作家の一人でスイス人、ナチスの時代を生き、
グロテスクに浮かび上がる社会と人間を描きました。
本作を、デュレンマットは[悲劇的喜劇]と呼んでいます。「正義」の名の下、周到に計画
して大復讐を企てる億万長者の老貴婦人の意思により、「ヒューマニズム」あふれる善人で
あると自身でも思っている町の貧しき人達が、いつの間にか全体主義的に仲間を死に追いや
る様が、悲劇でありながらも喜劇的ですらあるというアイロニカルな作品。
デュレンマットの計算し尽くされた言葉達をいかに日本語に出来るか五戸さんと相談し
ながら訳していきたいと思っております。

演出 五戸真理枝からのメッセージ
私は社会の中で生きるうちに、脆くてはかない自分の心を守るために数々の武装法を身に
つけてきました。勉強するために、働くために、幸せでいるために。例えば、“文句の多い隣
人の話は聞いている姿勢で聞き流す”というのも、武装法の一つです。私はもはや自分が武
装していることを意識することなく、でも常に心に鎧をつけて生きている人間です。
私が誰かと“真の対話”をするためには、この心の武装を解く必要があると思うのですが、
一度身に着けた鎧を脱ぐことは容易ではありませんし、もしかしたらもう脱げないかもしれ
ません。
そんな私でも、劇場にいて劇世界に浸っている時間だけは、不思議なことにほぼ全面的に
心の武装が解除されていきます。いや、そんな気がしています。なので、そういう、演劇と
いう特殊な時間を使って、“対話の難しさ”について考えてみるというのは、ユーモアにあふ
れた試みだと感じます。
デュレンマット氏の人間や社会を見る目の鋭さと奔放な遊び心。若い男女の心のすれ違い
が何十年という時を超えて増幅され、小都市の命運まで揺さぶっていくという展開のダイナ
ミックさには驚かされます。諧謔精神を胸に、哀しき人間の姿を鮮明に立ち上げてみたいと
思います。

スタッフプロフィール
作:フリードリヒ・デュレンマット (Friedrich DÜRRENMATT)
スイスの作家(1921-1990)。ベルン州コノルフィンゲンに牧師の息子として生まれる。ベ
ルン大学とチューリヒ大学で哲学などを専攻。21歳で処女作『クリスマス』を執筆。24歳の
ときに短編『老人』が初めて活字となる。同年、最初の戯曲『聖書に曰く』の執筆を開始。
50年代から60年代にかけて発表した喜劇によって劇作家として世界的な名声を博したほか、
推理小説『裁判官と死刑執行人』がベストセラーに。88年、演劇から離れ、自伝など散文の
創作に専念することを発表。晩年は自叙伝『素材』の執筆に打ち込む。90年、ヌシャテルの
自宅で死去。代表作に『物理学者たち』など。

翻訳:小山ゆうな (KOYAMA Yuna)
演出家・劇作家・翻訳家。ドイツ・ハンブルク生まれ。早稲田大学第一文学部演劇専修卒業。
劇団NLT演出部を経て現在はフリー。アーティストユニット「雷ストレンジャーズ」主宰。2017年『チック』の翻訳・演出で、第10回小田島雄志・翻訳戯曲賞、第25回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。そのほか、主な翻訳・演出作品にニール・サイモン『ローズのジレンマ』(東宝)、ヤエル・ロネン『冬の旅』(ドイツ文化センター)、ケストナー『雪の中の三人』(劇団俳優座)。
演出作品に『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(劇団四季)、雷ストレンジャーズ 演劇ジェッ
ト紀行 スウェーデン編『父』、ノルウェー編『フォルケフィエンデ―人民の敵―』子どもと大
人のための朗読劇『青い鳥』など。新国立劇場では『願いがかなうぐつぐつカクテル』を演出。

演出:五戸真理枝 (GONOHE Marie)
2005年、文学座付属演劇研究所に45期生として入所10年、座員に昇格。演出助手などとし
て座内の多数の公演に関わる。16年、文学座アトリエの会、久保田万太郎作『舵』で初演出。
『桜の園』『阿修羅のごとく』『三人姉妹』『年あらそい』などを演出。演出助手としては『岸リトラル』『管理人』『坂の上の家』『娼年』『チック』『中橋公館』『食いしん坊万歳!正岡子規青春狂詩曲』などに参加。新国立劇場では『どん底』の演出のほか、『オレステイア』『城塞』に演出助手として参加。演出のほか、戯曲や童話の執筆も手掛ける。

出演者プロフィール
秋山菜津子(AKIYAMA Natsuko)
舞台を中心にドラマ・映画など多岐にわたり活躍、古典から翻訳戯曲、若手作家の舞台まで
幅広い作品に出演。第 36 回紀伊國屋演劇賞個人賞、第 9 回読売演劇大賞優秀女優賞、杉村
春子賞第 14 回読売演劇大賞優秀女優賞、第 22 回読売演劇大賞最優秀女優賞など受賞多数。
近年の舞台出演作品に『シブヤデアイマショウ』『マシーン日記』『フリムンシスターズ』『出
口なし』『ハングマン』など。新国立劇場では『東海道四谷怪談』『まほろば』『舞台は夢 イ
リュージョン・コミック』『母・肝っ玉とその子供たち』『胎内』『透明人間の蒸気』に出演。
相島一之(AIJIMA Kazuyuki)
1987 年より東京サンシャインボーイズに所属、94 年『罠』までの全作品に出演。以降も三
谷幸喜作品をはじめ、数多くの舞台、ドラマ、映画で活躍する一方、相島一之&THE BLUES
JUMPERS として音楽活動も行っている。
近年の舞台出演作品に『マイ・フェア・レディ』『オスロ OSLO』『ハロルドとモード』『大
地』『ミュージカル フランケンシュタイン』『ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~』など。
新国立劇場では『プライムたちの夜』『OPUS/作品』『わが町』に出演。

公演概要
【タイトル】 貴婦人の来訪
【会場】 新国立劇場 小劇場 (京王新線 新宿駅より1駅、「初台駅」中央口直結)
【公演日程】 2022年6月1日(水)~19日(日)
【料金(税込)】A席7,700円 B席3,300円(税込)
【一般発売】 5月7日(土)10:00~ ※通常の座席配置での販売を予定しております。
【チケット申し込み・お問い合わせ】
新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999 (10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス http://pia.jp/nntt/
本公演は新型コロナウイルス感染予防、拡散防止対策をとって上演いたします。
詳細:https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017576.html
* Z席1,650円 Z席(各日10席)は、公演当日朝10:00から、新国立劇場Webボックスオフィスおよびセブン-イレブンの端末操作により全席先着販売い
たします。
※先着販売後、残席がある場合は、公演当日の開演2時間前からボックスオフィス窓口でも販売いたします。
※電話予約不可。* 当日学生割引

公演当日残席がある場合、Z席を除く全ての席種について50%割引にて販売。要学生証。電話予約不可。
*新国立劇場では、高齢者割引(65歳以上5%)、
障害者割引(20%)、学生割引(5%)、ジュニア割引(中学生以下20%)など各種の割引サービスをご用意しています。-

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