「新国立劇場」からの新たな作品のお知らせです!!
第一弾は、『フリック』でピュリッツァー賞を受賞したアニー・ベイカーが2017年に発表した『アンチポデス』。新国立劇場では『タージマハルの衛兵』の翻訳の記憶も新しい、小田島創志による翻訳で日本初演いたします。「地球の裏側」を意味するタイトルを冠した戯曲に登場するのは、閉ざされた部屋で物語を作り出す、という作業をしている8人の男女。人に渡す言葉の在り方を、他者との関係性を、今一度、立ち止まって考えたい、というテーマのもとにお届けする「だれかが“おはなしをする“お話、を描いた物語」。様々な危機に陥った世界にとって「ものがたり」がどのような価値を持つのか、観客と一緒に考えたいと、小川絵梨子自らが演出をいたします。
ある会議室に男女8人が集められている。
そこがどこであるのか、いつであるのかも不明だが、リーダーであるサンディのもと、彼らは企画会議として「物語を考える」ためのブレインストーミングを始める。新たなヒット作を生むためである。
サンディは「ドワーフやエルフやトロルは無し」と言う。恐ろしさや怖さの中にも消費者が親近感を覚えるリアルな物語を採用したい、と。
既存の作品の焼き増しではない新しい物語を生み出すために、参加者たちは競うようにして自分の「リアル」な物語を披露していく。やがて会議室の外に世界の終末のような嵐が訪れる。
===
「物語」の物語―アニー・ベイカーの『The Antipodes』を一言で表すとそうなるかもし
れない。ただしそれは、ただの空想ということでは決してない。物語が生まれる背景には現
実が、社会的な事件、個人的な事件、あるいは何気ない日常が存在する。では、物語は現実
とどうかかわるのか?物語がこの現実世界において果たす役割は―?
こうした問いを突き詰めていくと、改めて気づかされる。物語も現実も、語られていない
要素が表面下に無限に潜んでいるのだ。『The Antipodes』という作品自体、曖昧な部分は
数多い。彼らは何のために、唯一無二の物語を作ろうとしているのか。彼らが話す体験談は、
どこまで真実で、何を表しているのか。そもそもなぜ、「彼ら」が選ばれたのか。舞台の外
で何が起こっているのか。語られず、曖昧なままほのかに浮かび上がってくる、物語の背後
にあるもの、言葉の背後にあるもの、現実の背後にあるものの存在。日本で上演される「物
語」としての『The Antipodes』が、今を取り巻く現実の何を照射するのか、翻訳者として
も考え続けたいと思っている。
演出 小川絵梨子からのメッセージ
『アンチポデス』は不思議な話です。ある会議室に8人の人間が集まり、物語を生み出す
ために話し合いをしていますが、それが何のためなのかは語られません。新しいテレビドラ
マの脚本なのか、映画なのかそれとも全く別の何かなのか、観客には明かされないまま8人
の話し合いが続いていきます。8人は締め切りとプレッシャーに格闘しつつ、なんとかして
「まだ誰も聞いたことのないような新しい物語」を作り上げようと必死で頭を捻ります。し
かしやがて、チームであるはずの8人は閉ざされた空間の中で、お互いへの苛立ちや不安を
募らせていき、みんなで作っているはずの物語も迷走を始めていきます。
本作はシリーズ「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話…の物語」第一弾の作品となります。人と人の
コミュニケーション、人が集団として存在する時の難しさ、痛み、孤独などをヒリヒリと生々
しく描いていければと思っています。
会場:新国立劇場 小劇場
公演日程:
本公演 2022年4月11日(木)~24日(日)
プレビュー公演 2022年4月3日(日)、4日(月)
作 アニー・ベイカー
翻訳 小田島創志
演出 小川絵梨子
芸術監督:小川絵梨子
主催:新国立劇場
出演:
白井 晃 高田聖子 斉藤直樹 伊達 暁 富岡晃一郎
亀田佳明 草彅智文 八頭司悠友 加藤梨里香
一般発売日:3月13日(日)10:00~
料金(税込):
本公演 A席7,700円 B席3,300円
プレビュー公演 A席5,500円 B席2,200円
公演詳細:https://www.nntt.jac.go.jp/play/antipodes/
チケットに関するお問い合わせ:新国立劇場ボックスオフィス:03-5352-9999(10:00~18:00)
「シリーズ 声」演劇3作品通し券
4月『アンチポデス』 5月『ロビー・ヒーロー』 6月『貴婦人の来訪』
料金(税込):20,700円(正価より10%OFF) 一般発売:3月13日(日)10:00~
詳細:https://www.nntt.jac.go.jp/play/news/detail/13_021415.html